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<話を聞き出す>20年以上かけて諸先輩から学んだ"聞く技術" -前編-

<話を聞き出す>20年以上かけて諸先輩から学んだ

ゲストライターの山田Uさんの記事をお届けします。山田さんは、雑誌のライティングから始まり、編集、WEBディレクション、WEBプロデュースと、クリエイティブ業界で20年以上活動してきました。その経験をもとにした「より良く聞く」ためのお話です。取材だけでなく、WEBプロジェクトの現場でも「効く」のではないでしょうか。

「技術じゃなくて、姿勢の問題。相手のことをどれだけ知りたいと思うか、だよ」。

これは、二十数年前、私が駆け出しのライターだった頃に、大先輩からもらった金言です。「インタビューがうまくなるには?」という漠然とした質問に対して、こう答えてくれました。正直に言えば「もっとすぐに使えるコツみたいなのはないのかなあ」と浅はかな感想を持ったのですが……。

しかし、時が経つにつれ、この先輩の言葉の重みを実感するようになりました。その後の取材でも、WEBプロジェクトのヒアリングでも、またコンサルタントという分不相応な肩書きで仕事をしていた時も、ずっとこの言葉を指針にしてきたように思います。
よくよく考えてみれば、聞くということは常に相手があっての動作。そして人は、私のような平凡な人間の"技術"で動いてくれるわけはない。相手のことを知りたいという誠意があってこそ、重要なことを語ってくれるものでしょう。

まったく鈍い人間なので、こうやって長い時間をかけて、少しずつ先達の方々から仕事のしかたを学んできました。以下に、そんな諸先輩から学んだ、良く聞くためのベーシックを挙げてみます。
本記事のタイトルは、わかりやすくするために「技術」となっていますが、その本質は、やはり「姿勢」あるいは「習慣」と呼ぶべきものだと思います。

目次

1.準備、準備、準備

インタビューはもちろん、WEBのプロジェクトのような問題解決の現場でも、準備は極めて大切です。こうした準備は、その「聞く現場」での限られた時間を、より密度の高いものにしてくれます。結果として、より深い記事や、本質的な問題解決につながります。

プロのインタビュアーで、準備をないがしろにする人はいません。相手の著作や、過去のインタビュー記事を読むのは当然です。今ならTwitterやブログなどもチェックします。私の先輩たちは、インタビュー時間の、少なくとも数倍の時間を下調べに使っていました。そして、鋭い質問リストを作っていました。

そうした準備が不可能な場合もあります。例えば新人ビジネスマンの下調べをしようと思っても、公開されている情報が何もない、といったケースです。しかしそれでも、事前に情報をもらえないかたずねることはできます。

WEBディレクターとして顧客にヒアリングに行くときも、同じことです。相手のコーポレートサイトをチェックしておくのはもちろん、SNSをのぞいてみたり、ニュースを検索してみたり……、思いついたことは全て試します。

そのヒアリングの場の議題が分かっていれば、その周辺の下調べも行います。「オウンドメディアの立ち上げ」が議題なら、そのテーマについて考えておきます。競合のオウンドメディアに注目してみます。また、抜け漏れがないよう、定型化したヒアリングシートも常に持参しています。

事前に相手のことをできるだけ知っておく。それが時間の密度を高め、より本質に迫ることになる

2.話を聞く意義を共有する

なぜそれを聞くのか、相手に分かってもらえれば、より的確な回答が返ってくる。より本質的な言葉がもらえる。そう考えています。

企業トップにインタビューをする企画で、あるライターさんとご一緒した時のことです。そのライターさんは、インタビューの冒頭で、「○○○さんの知見は、絶対に読者の役に立ちます。ぜひ詳しく聞かせてください、読者に力をください」と相手に力説していました。話を聞く意義、と捉えて良いでしょう。それを聞いたトップはどう思うか。おそらく、「そうか、じゃあ一生懸命しゃべろう」となるのではないでしょうか。結果として、そのインタビューは実りの多いものになります。また、仮にそのトップが、「私なんぞが何かを語るなどおこがましい」と考えるような控えめな性格だったとしても、何かを語っていただきやすくなるでしょう。

もちろん、その言葉が見せかけだけのものだったら、かえって相手をしらけさせます。相手のことを知りたいという本物の姿勢があってこそ、の言葉でしょう。

ビジネスの現場でも同様です。きちんとした意義があるならば、多少聞きにくいことも率直に聞く。ただし、それを聞く意義をあらかじめ伝えておけば、そしてその意義が共感できるものであれば、失礼にはあたらないでしょう。私が出会ったある天才的なコンサルタントは、ビシビシと顧客の不都合なところを突く質問をしていました。それも、顧客のビジネスを改善するという意義が共有されているからこそできることだと思います。

なぜその質問をするのか、なぜ聞きたいのかを相手に伝える

3.信頼に足るように努める

互いに信頼がなければ、核心を突く言葉は出てこない。やや精神論的な言い方になってしまいますが、真実だと考えています。私がインタビューされるとして、なんの準備もしてこず、話しをする意義も伝えてくれない人がインタビュアーだとしたら、信頼できず、そして何も語る気はしません。

もちろん、信頼は準備と意義だけで成り立つわけではありません。私がライターだった時代、先輩はこの点を最優先で指導してくれました(怒られた、とも言います)。

事前の取材申し込みの時、失礼はなかったか。相手に手間を掛けさせていないか。 現場で、きちんとした身だしなみをして、清潔にしているか。 インタビュイー(インタビューされる人)に、ぶしつけな視線を送っていないか。穏やかな笑顔を見せているか。

どれも当たり前のことですし、ビジネスの現場でも、信頼が一番大事、と古くから言い尽くされていることです。また、仕事全体に関わるテーマでもあり、ここではこれ以上は踏み込みません。

ただ、一点だけ、Tipsめいたことを付け加えれば、私が勝手に名付けた、「5%の自己開示の法則」というものがあります。これは、話を聞く立場だとしても、ほんの少し自己開示をすると、相手もこちらを信頼してくれて、結果として語りやすくなる、という経験則です。

例えば、インタビュイーの話題が社内の決裁フローの煩雑さに及んだとします。その時に、「ああ、すごく分かります。私も前の会社で苦労しました。部長に説明に行こうにも、部長のスケジュールがいつも埋まっていて……」などと、少しだけ、自分のことを語ります。相手がそう言ってくれた時、私なら「分かってくれている」「同じ経験を持った人なら話しやすい」と感じます。聞き手の素顔が少しでも垣間見えたことで、それ以降の話もしやすくなるはずです。よく「相づちやうなずきが大事」と言われますが、そのアドバンス版、と言ってもいいでしょう。

信頼は全てのコミュニケーションの土台

後編「山田さんが目の当たりにした、ヒアリングの現場が凍り付いた出来事とは?」

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